2013年3月25日月曜日

お灸をすえて、歪みを直す。


鉄は熱が加わると延びたり、冷めると縮んだりします。
溶接するときにも、溶接箇所に熱が加わる為、いわゆる溶接歪みが発生したりします。

特に鉄板に局所的に集中して溶接したときなどにも溶接歪みが発生しやすく、べこん、と反ってしまったり。
溶接箇所に集中して熱が加わった為、その箇所だけ鉄が延びて、冷えるときにより縮み、溶接していないところは、ほとんど伸び縮みしていない為に歪みが発生している状態で、縮んだ箇所と縮んでいない箇所の差が大きくなればなるほど、歪みが大きくなって、べこべこになってしまいます。

溶接を習いたての頃は、溶接後にべこん!と歪んでしまうと、どうしていいのやらなかなか分からずに、歪みを直すのにずいぶん苦労したものですが、歪みのメカニズムを知ると、案外怖くなくなります。
つまりは、どこが縮んでいて、どこが伸びているのかが分かれば、その伸び縮みの差を極力なくしてやることで、歪みは解消するということです。

ではどうするかというと、オーソドックスなのは、叩いて直す、という方法。
むやみやたらに叩くのではなく、縮んでいるところを叩いて、縮んでいないところとおなじくらいの長さになるまで延ばす、という方法です。
でも、溶接での伸び縮みは結構大きなものがありますし、溶接箇所付近をあまり叩きすぎても・・・というのもありますので、なかなかそれだけで直すのは難しかったりします。元の鉄板が大きくなってくると、なおさらです。

そこでもっと強力な方法が、いわゆる「お灸をすえる」という方法。
これは叩くのとは逆に、溶接していない(縮んでいない)方に熱を加えて冷やすことで、延ばして縮ませ、全体の縮み量を同じくらいにすることで、歪みを直す、という方法です。
溶接でどのくらい縮んでいるか、そして他のどの部分にどのくらい熱を加えて縮ませるかは、感覚と経験によるところが大きいですが、でも一発でぴたっと平らに直すことが出来ると、やはり気持ちのいいものです。

完成した品は、当たり前のように平らな鉄板なので、見た人には何もわからない。
誰にも分からないように、当たり前のように何事もなく作ることは、作り手だけが人知れずかみ締める喜びなのかもしれません。



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1 件のコメント:

  1. すみません、アルミの箱状に溶接した状態で太鼓状態に歪が発生しています。
    4面共に溶接完了していますが、どうやってお灸したらいいのでしょうか?
    板厚は、1.5mmで1辺の長さが500mm程度の部品です。

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